甚六屋年表

第一章 : ライヴハウス甚六屋 上巻

元、足立区役所斜め前(消防署前)の細い道をちょっと入った所の、紀の国屋ビル3階にオープンしたライヴハウス”甚六屋”
残念ながら営業を開始した正確な日付ははっきりしないが、「ぴあ」初登場は4月号からである。
まだ連絡先が綾瀬「夢来館」になっているところを見ると前月の3月がオープンだったのかもしれない。

1976 . 2 頃

ドリンク+チャージ(100〜500円)PM7:00〜  
4/9 南正人 / 古田勘一
4/14 佐久間順平 / 中川たかし
4/17 フィルムギャラリー(3人展)
4/21 新人コンサート(募集中)
4/24 トド / ぎんぎん
4/28 野沢亨司

北千住「甚六屋」1976年4月のスケジュール

※当時の「ぴあ」に基づく

この時、甚六屋、島津貫司と深い関わりを持つようになるブルースバンド「ぎんぎん」が登場している。最初の出会いがこの時だったかどうかは定かではないが、そのパフォーマンスを目の当たりにした島津は、まだ駆け出しのこのバンドのマネージャーを自ら買って出たのである。

北千住「甚六屋」1976年5月のスケジュール

※当時のチラシ

次の月、お店にやっと電話が入った。最低料金が100円値上げの200円、時間も30分繰り上げられ、何かと試行錯誤が伺える。
この頃のライヴハウスのチャージの相場は500円前後、PIT−INなど高いところで1000円である。大抵はドリンク付。
ちなみにホールコンサートの相場は1000円前後、外タレなどは2000円ちょっとであった。
ミュージックライン千住ol.3の出演が決まっている、夢来館にも出演いていた「中川五郎」が初登場!

ドリンク+チャージ(200〜500円)PM6:30〜  
8/1 4:00〜 ラストショー
8/5 田舎芝居
8/6 いとうたかお
8/8 浅野由彦 / 丸山拓一
8/10 友部正人
8/12 友部正人 / 中塚正人
8/13 金森幸介
8/14 佐渡山豊
8/15 北炭生 / 友川かずき
8/20 よしこ / 朝比奈逸人
8/21 瀬戸口修 / 山田正子
8/22 アンクル・ムーニー / 中川たかし
8/27 南正人
8/28 南佳孝&ハーバーライツ
8/29 新人コンサート / ゲスト 羽丘じん
8/31 森田童子

北千住「甚六屋」1976年8月のスケジュール

※当時の「ぴあ」に基づく

横浜から、当時まだ珍しかったジャグバンド、ムーニー率いる「アンクルムーニー」の初登場である。
ジャグバンドとは洗濯板のパーカッションに、タライにモップの柄のついた、またはボトルの口に息を吹きかけるベースの、ニューオーリンズなバンドの事。(よくわからないか。。。)
「アンクルムーニー」は島津の特にお気に入りのバンドのひとつであった。
そして瀬戸口修は前月7月が甚六屋、初登場である。
両者とも今回のミュージックライン千住Vol.3に出演が決まっている。
なんとVol.0に出演の「南佳孝」も、ぽい感じのバンドを率いて出ていたのだ!

ドリンク+チャージ(200〜600円)PM6:30〜  
11/2 浅野由彦 / 中塚正人
11/3 友部正人
11/5 フィルムコンサート 「夕焼け楽団、シーチャンBr 他」
11/6 芝紀美子&ニュー・ラグタイム・ボーイズ
11/7 高田渡&ヒルトップ・ストリングスバンド
11/11 古田勘一 / KEEBOW
11/12 森田童子
11/13 ぎんぎん
11/14 5:30 田舎芝居
11/19 佐渡山豊
11/20 フィルムギャラリー
11/21 宿屋の飯盛
11/22 羽丘じん
11/23 5:00 あんぜんBAND
11/24 エド
11/25 中川五郎 / とめ
11/26 新人コンサート(募集中)
11/27 友川かずき
11/28 5:00 ウィーピングハープセノオバンド

北千住「甚六屋」1976年11月のスケジュール

※当時の「ぴあ」に基づく

ビデオの普及した今では考えられないかもしれないが、当時フィルムコンサートというのはよく開催された。かく言う私も隣の墨田区でこの頃、公民館など借りて催すロックフィルムコンサートなるものの手伝いをしていた、まだ中学生だった。
しかし甚六屋でのフィルムコンサートは海外物もあったにはあったが、主に国内アーティストだったのがひねくれているというか面白い。
そしてバンド物も結構出演している。狭いながらもドラムが平気で入っていた。この前月などはなんとフュージョンバンドの「プリズム」が出演している!
ミュージックライン千住Vol.1出演の「ウィーピングハープ妹尾」の名が見られる。

ドリンク+チャージ(200〜600円)PM6:30〜  
12/3 いとうたかお / 丸山拓一
12/4 さかうえけんいち
12/5 古川豪
12/7 朝比奈逸人 / 佐久間順平
12/9 森田童子
12/10 シバ&ザ・キャンディーメン
12/11 KEEBOW / とめ
12/12 アンクル・ムーニー・ジャグバンド
12/14 友部正人
12/15 芝紀美子&ニュー・ラグタイム・ボーイズ
12/17 フィルムギャラリー
12/19 佐渡山豊
12/20 高田渡&ヒルトップ・ストリングスバンド
12/21 瀬戸口修 / きくち寛
12/23 羽丘じん
12/24 新人コンサート(募集中)
12/25 ぎんぎん
12/26 5:00ウィーピング・ハープ・セノオバンド
12/28 友川かずき
12/31 5:00〜11:00 ’76ラストコンサート/飛入歓迎/スペシャルゲスト多数出演(終夜営業)

北千住「甚六屋」1976年12月のスケジュール

※当時の「ぴあ」に基づく

今回のミュージックライン千住Vol.3出演の「さかうえけんいち」甚六屋初登場!他に同じく今回出演のムーニー、瀬戸口修、ぎんぎんの名が見える。
それにしてもいったいどんな年越しだったのであろう?

この頃、北千住には数件の映画館があり、芝居小屋のような?今で言う多目的ホールのような場所もあったらしい。
繁華街には大きなキャバレーなどもあり、何気に浅草に次ぐ下町の文化都市であった。

北千住「甚六屋」1977年2月のスケジュール

当時のチラシ、今で言うフライヤーは殆どどこも手書きであった。しかもコピーや印刷などは高いのでガリ版刷り、今には無い「温もり」と「匂い」を感じる。
今回のミュージックライン千住Vol.3出演の「江口晶」甚六屋初登場!

※当時のチラシ

1977 . 2

北千住「甚六屋」1977年7月のスケジュール

※当時のチラシ

この月は甚六屋にとってエポックメイキングな出来事があった。マスター島津貫司がマネージャーを買って出たブルースバンド「ぎんぎん」のレコードデビューである。
彼はこのために奔走し、メジャーなビクターからの発売となった。
「夢来館」からの仲間であるヒロミ氏を伴いビクター本社に出向いたとき、島津は裸足にサンダル履きで、こっぴどく怒られたそうだ、彼らしいエピソードである。
下巻ではこの「ぎんぎん」の仰天レコーディングエピソードから始めるとしよう。

序章へ

第一章下巻へ